重さと材質

 使いやすいスーツケースの大きさがだいたい分かったら、実際に買うだけとなりそうですが、その前に材質についても考えておかないといけません。市販のスーツケースを見ると、すでに書いていますが同じ大きさのハードケースであっても、軽いものは3kg台からあり、重いものは8kg近くになっています。

 当然ながら軽ければ軽いほど扱いやすいわけですが、これまた当然ながら軽いものは作りが粗雑になっている可能性があります。つまり壊れやすいということです。

 そもそも鉄の箱で頑丈なものを作れば、以下に計算例をしめしましたが、その重さは10kgにもなってしまいます。つまり一般的に同じ大きさなら、重いものは頑丈で、軽いものは壊れやすいという図式になります。

 しかし当然ながら消費者の要求は、丈夫で軽いものということになり、そうすると必然的に材質が問題になってきます。特にその材質は表面の材質ではなく、スーツケース自体を構成している箱の材質ということになりそうです。

 このあたりからは専門的な知識が要求され、私も分かりかねる部分もあるので、先ずはネットを使って、「スーツケースの材質」を検索語句に使って調べてみました。

① もしも鉄板だったら

 以下は私が個人的に考えたものです。丈夫で堅牢と考えれば、誰もが思い浮かべるのが金属です。仮に厚さ2mmの薄い鉄板を使って、スーツケースの箱を作るとします。

 大きさを70cm×40cm×30cmとすると、その総面積は6100cm2になりますので、これに厚さ0.2cmを掛け算すると、体積は約1200cm3となります。

 鉄の1cm3あたりの重さは8gぐらいなので、これを掛け算すると、この鉄板の重さはなんと9.6kgになってしまいます。まさに丈夫だけど無茶苦茶重いスーツケースです。というわけで、金属のボディを使ったスーツケースの場合は、もっと軽くて丈夫な合金が使われる、という結論になります。

② ジュラルミン

 具体的には飛行機の機体にも使われている「ジュラルミン」が使われているようです。これはアルミニウムを主原料とした合金で、比重は2.8ぐらいです。従って、上記の鉄板の代わりにジュラルミンを使えば、3.4kgのスーツケースになります。

 実際私はジュラルミンという金属の塊を持ったことがありますが、見た目の大きさに比べて非常に軽くてびっくりしました。当然これを使えば軽量で堅牢なスーツケースが出来るわけですが、残念ながらジュラルミンの値段が高いという欠点があり、その製品の値段も必然的に高くなります。

 この製品を扱っているのが、高価なスーツケースで有名な「リモワ」です。だいたい60Lぐらいのもので10数万円します。

③ ポリカーボネート

 軽くて丈夫な金属で作ると、高価なスーツケースになってしまいます。そこでメーカーはそれに代わる材質をいろいろ開発しています。私たちが普通に生活している中で、金属と同じくらいの硬さを持って丈夫なものは何だろうかと周囲を見回すと、目につくのはプラスチックです。

 当然このプラスチックの種類もいろいろあるわけですが、スーツケースに使われるのはこの中の「ポリカーボネート」や「ABS」と呼ばれる材質です。

 ネットで調べてみると、昔のスーツケースではABSと呼ばれるものが使われていたようですが、今のスーツケースのほとんどはポリカーボネートになっています。

 理由は単純。コスト的にはABSより若干高いようですが、軽くて衝撃に強いというのが最大の特徴。一方昔のスーツケースは表面も硬かったのですが、今のポリカーボネート性は、力を加えるとベコベコと凹んだりします。

 そんなんで大丈夫かと心配になりますが、凹むだけですぐ元に戻ります、つまり衝撃に対する吸収力があるということです。

 結論ですが、一般旅行者が使う場合は③のポリカーボネート製で十分だと思われます。ただし長期に少し重たいものを運搬する必要があるばあいはリモワ等が良いのかもしれません。